金融機関が融資審査で見るのは「事業の再現性」
フィットネスフランチャイズの開業において、多くの方が最初の壁として直面するのが資金調達です。日本政策金融公庫や銀行から融資を受ける際、担当者はあなたの情熱だけでなく、その事業がいかに「客観的に見て、成功する確率が高いか」を冷静に判断します。その根幹にあるのが「事業の再現性」です。ここでは、その再現性を証明するために、事業計画書で絶対に押さえるべき3つのポイントを解説します。
1. 自己資金の比率と計画性
まず見られるのが、総事業費に対する自己資金の比率です。一般的に、最低でも総事業費の3分の1は自己資金で用意することが望ましいとされています。これは単なる金額の問題ではありません。「この事業のために、計画的に資金を準備してきた」という、あなたの本気度と計画性を証明する最も分かりやすい証拠だからです。
2. 精度の高い収支計画
「会員数が〇人になれば黒字です」というだけの計画では不十分です。金融機関は、その数字の根拠を厳しく見てきます。
- 損益分岐点(BEP)の算出根拠は明確か? (固定費、変動費の洗い出し)
- 会員数の見込みは楽観的すぎないか? (商圏人口、競合状況を考慮)
- 退会率や客単価は現実的か? (業界平均との比較)
これらの数値を、希望的観測ではなくデータに基づいて積み上げていくことが、計画の精度を高めます。
3. オーナー自身の経験と熱意
異業種からの参入であっても問題ありません。重要なのは、この事業を成功させるために、どれだけの準備をしてきたかです。「競合店を30店舗以上視察し、強みと弱みを分析しました」「本部担当者と〇回面談し、サポート体制について深く理解しています」といった具体的な行動が、数字だけでは測れない「成功の蓋然性」として評価されます。
事業計画書に説得力を持たせる「感度分析」とは
さらに計画の精度を高めるために有効なのが「感度分析(センシティビティ分析)」です。これは、「もし計画が下振れした場合、事業は耐えられるのか?」をシミュレーションし、リスク耐性を示すためのものです。例えば、以下のようなシナリオを計画書に盛り込むと、非常に説得力が増します。
【収支計画の感度分析(例)】
シナリオ | 会員数(計画比) | 月間売上 | 営業利益 | 評価 |
標準ケース | 100% | 300万円 | 50万円 | 目標値 |
悲観ケース | 80% | 240万円 | △10万円 | 赤字だが、キャッシュフローは維持可能 |
楽観ケース | 120% | 360万円 | 110万円 | 早期の投資回収が可能 |
この分析を見せることで、「私たちは最悪の事態も想定し、その対策も考えています」という、リスク管理能力の高さを示すことができます。当メディアでは、こうした事業計画の策定サポートも行っていますので、お気軽にご相談ください。